2011年10月27日

稚内メガソーラー発電所

産業労働委員会の県外調査として、北海道稚内市にある「稚内メガソーラー発電所」および苫前町の風力発電施設を見学しました。

稚内メガソーラー発電所はNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実証研究施設として建設、研究していた施設を稚内市が無償で譲り受け、現在運用しているものです。

設備容量5,020 kW(一般家庭1,700世帯)は日本最大級の太陽光発電施設といえます。
日本最北の地に太陽光発電所?と思われる方も多いと思います。
稚内に施設された理由は、積雪・寒冷・強風と気象条件が厳しい中で、様々なデータを取得するためということでした。
稚内の日照時間は日本の平均より短いそうですが、発電量は少なくないそうです。
これは太陽光パネルの素材である結晶系シリコンが、「気温が低くなればなるほど性能が良くなる」という性質をもっているからだそうで、寒くて雪があまり降らない「道東地域」がメガソーラー発電所の立地に最も適しているとのことでした。

また、この施設の研究にはもう一点「系統安定化対策技術」という大きな研究テーマがあり、蓄電池(NAS電池)が1,500kW設置されています。

ご存知の方も多いと思いますが、「電気」は貯めることができず、常にその瞬間の需要量と発電量がイコールでなければなりません。従って、電力供給の安定化を行うため、電力会社は消費者の電気の使用量に合わせて発電所の出力を常に変動させています。

今後、大規模太陽光発電の導入がさらに進むと、大量の“変動する電気”が送電線の中に流れ込むことになります。
天候によって発電される電力は出力が不安定であり、電力会社がコントロールできないエネルギーが増加すると、電圧や周波数に影響を与えます。
現在はこうした変動エネルギーを既存の火力発電や水力発電などカバーしていますが、今後、太陽光発電のような変動電源の比率が高まってきたとき、既存電力では吸収できなくなり、様々な機器に狂いが生じる恐れがでてくるのです。
そこで稚内メガソーラー発電所では、発電所内に設置してある様々な気象観測装置により、翌日の発電計画を予め電力会社に連絡したうえ、蓄電池で供給量に過不足が出ないよう調整し、安定的な電力供給(=電気の質を高める)を行う取り組み(=計画発電)を行っているのです。

これだけ大容量の蓄電池を備えているメガソーラー発電所は世界的にも例がないそうです。

「電気は貯めることのできない商品であることが最大の特徴である」

私が、電力会社入社後、始めに教わったことです。そしてこの課題の解決に向けては、未だに実用化のレベルに至っているとは言えません。

今回の見学を通じて、委員会メンバーの方々に、こうした課題を理解いただくことができました。
今後はより多くの人にこの事実を知っていただきたいと思います。


Posted by 日比たけまさ at 22:50│Comments(0)TrackBack(0)支援者

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